「あの看板で待ち合わせね」─ 街の目印が持つ、もうひとつの役割

「駅前の大きな看板で待ち合わせね」

そんなやりとり、したことはありませんか?
約束の時間の少し前、スマホを片手に人混みの中で「あの看板」を探す。
見つけた瞬間のほっとした気持ち。
そして、看板の前で時計を見ながらそわそわと待つ時間。

看板は、お店の情報や広告を伝えるためのものです。
でも実は、それだけではありません。
「ここで待ってるよ」「ここなら見つけられるよ」という、人と人をつなぐ大切な役割も担っているのです。

なぜ看板は「待ち合わせ場所」になるのか

看板が目印として選ばれるのには、いくつかの理由があります。

まず視認性の高さです。遠くからでも見えて、夜でも照明で目立つ看板は、初めての場所でも見つけやすい存在です。また、固定されている安心感も重要です。
いつもそこにあって動かないからこそ、「○○銀行の看板の前」と言えば誰にでも伝わります。

デジタルマップが普及した今でも、「地図で場所を見るより、あの看板を目印にした方が早い」という経験は誰にでもあるはずです。
地図アプリは正確な位置を教えてくれますが、「どのあたりで待てばいいか」を教えてくれるのは、やはり看板なのです。

街の記憶と共にある「あの看板」

地元の人にとって、「あの看板」は特別な存在です。

学生時代の友達との待ち合わせ、初めてのデート、久しぶりの再会。
多くの人が、同じ看板の前で様々な思い出を重ねてきました。
中には「親の世代も同じ場所で待ち合わせしていた」という、世代を超えて愛される看板もあります。

反対に、再開発で長年親しんだ看板が消えた時、地域の人々は「目印がなくなって困る」という実用的な困りごとだけでなく、思い出の場所を失ったような寂しさを感じるものです。
それだけ看板は、街の記憶の一部として根付いているのです

これからの「目印」の可能性

デジタルサイネージのような新しい看板は、「待ち合わせスポット」としても進化を続けています。

大きくて明るい画面は、従来の看板以上に遠くからでも見つけやすく、時間帯や天候に合わせて表示を変えることもできます。将来的には、「今、この場所で何人待っているか」や「近くのカフェ情報」をリアルタイムで表示する、といった新しいサービスも生まれるかもしれません。

アナログとデジタル、それぞれの良さを活かしながら、看板は今後も街の「目印」であり続けるでしょう。

おわりに

看板は、ただ情報を伝えるだけのものではありません。
それは、誰かを待つ場所であり、街の記憶を刻む場所であり、人と人をつなぐ場所でもあります。

次に誰かと待ち合わせをする時、ぜひその看板をじっくり見てみてください。そこには、あなた以外にも多くの人が待ち、出会い、物語を紡いできた歴史が刻まれているはずです。

私たちセイビ堂も、そんな「街の一部」として愛される看板を、これからも作り続けていきたいと思っています。

R&D本部 TH

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