皆さん、だまし絵はお好きでしょうか?
私が幼いころ、だまし絵に夢中になっていた時期がありました。壁に描かれた絵が、特定の角度から見ると立体的に飛び出して見えるという視覚の錯覚は、今でも面白く、不思議な現象だと感じます。
このような錯覚は、路面標示などにも応用されています。文字を縦に引き伸ばすことで、運転席からは見やすくなる工夫が施されるなど、私たちの身近な場面でも錯視の技術が活用されています。
そして、このような視覚効果を応用したサイネージコンテンツも存在することは皆さんもご存じかと思います。代表的な例としてよく挙げられるのが、新宿に登場した巨大な猫の3D映像です。実際に私も先日新宿を訪れた際猫のコンテンツが今も健在しており、さまざまなバリエーションも楽しむことができました。やはり何度見ても、つい見入ってしまいます。
今となっては、都内の大型ビジョンで当たり前のようにたくさんの3Dコンテンツを見かけようになりましたが、そんな中で、同じ新宿の別のビジョンで、他とは一味違うコンテンツが流れていました。
マネキンのような男性の手が少し曇った窓を突き抜け、誘っているかのようにこちらに手を差し伸ばしています。
一見他と同じような3D映像に見えますが、このコンテンツはサイネージの画面を窓に見立て、デジタル世界と現実世界の境界線を作った上で、その境界線を突き破ることによって二つの世界が繋がっているかような表現が施されています。
立体的に見える錯覚を利用する技術だけでも十分凄いですが、映像自体にもこのようなひと工夫を加えることで、より深い没入感とインパクトを生み出せることに感心し、サイネージの奥深さを改めて実感しました。
たとえ映像でも現実世界との区別がつかなくなるほど視聴者を引き込むような臨場感を再現することができれば、非常に効果的なコンテンツを作ることができるのではないかと感じます。
また、自分もなにかを制作するにあたり、何かひと工夫加えられないか?と意識しながら取り組んでいきたいと思った瞬間でした。
R&D 本部 TH